無になって気分を切り替える

私が毎日通勤でやっていることがあります。会社に着く最後の1駅で、「無」になることです。会社に行かなければいけないという、なんとなく重い感覚から気分を切り替えるためです。うまく切り替えができると、少しすっきりして、気持ちが楽になったりします。ただ、「無」といっても本当に「無」になることはきっと相当な修行をした人でないと無理なことです。大抵は何か考えてしまうものですから。ここでいう「無」は雑念を無くすという意味です。仕事に行く前ですから、昨日やり残した事や、これからやること、とにかく楽しいことは待っていませんから、色々頭の中がざわざわしている状態です。この「ざわざわ」が「なんとなく重い感覚」になっているのですが、いったん頭の中をからっぽにして、心を落ち着かせ、すっきりさせるというわけです。
さて、具体的には、まずはやっぱり深呼吸。次に目を閉じて、近くの音に集中します。足元の電車のガタンゴトンの音、少し遠くの会話をしている声、隣の車両のガタンゴトンの音、カーブにさしかかると車輪がレールとすれる高い音、段々遠くの音が聞こえるように集中します。次に、空気。普段はまったく気にしていないけど、電車の中でも空気が対流していて、顔や腕に風がゆっくり触れるのを感じます。それからもっとイメージを膨らませます。昔沖縄に旅行に行ったときに、山の上から見た海がとてもきれいで、水平線がずっと続いて地球が丸く見えたのがとても印象的でした。今その場所にいることを想像しながら、「楽しい」と心の中で何度もつぶやきます。それからゆっくり深呼吸をして、目を開けます。
これだけで本当に変わるのかと思われるでしょうが、毎日やっていると、明らかに1日の気分が違うのが分かってきます。
私のしていることはいわゆる「瞑想」です。瞑想は科学的にも調べられ、瞑想中の脳をスキャンすると、脳のいろいろな領域の活動が活性化し、痛みの耐性や、不安やうつの減少といった効果が認められるそうです。
心を「無」にする方法は、人それぞれあるようで、音楽を聴いたり、呼吸に集中したり、数字を数えたり。色々試してみると、自分にあった方法がきっと見つかります。ただ頭の中でイメージするだけですから、やってみて損はない話です。