雑談力を身につける

雑談力を身につける

人見知りや話しべたな人にとって、友達でもない人と会話するなんて苦痛でしかありません。それどころか一緒にいるだけで息苦しくなるのですから。この苦痛から逃れるには、一人でいるか、気の知れた友達といるのが一番です。ところが困った事に社会にでると、そうもいきません。一人では仕事は進まないし、日々価値観の違う人たちと嫌でも会わないといけません。中には無理してまで話しをしないと割り切っている人もいるでしょうし、息の詰まる時間をただ我慢する人もいるでしょう。また、仕事では仕事以外の話しはしなくてもやっていけると考える人もいます。しかし、やがて周りからも声をかけられなくなり、孤立化が進み、ますます話しにくい環境と人間関係が構築され、行き詰まります。
雑談力とは、人とのコミュニケーション能力であり、情報収集能力であり、自己アピール能力であり、何より自分の居やすい環境を作るために必要な能力なのです。

 雑談から逃げない

苦手なことはやらない。これは楽なことです。でも、この先もずっと苦手なままです。人と会話する事が苦手な人は、今までも人と会話することを避けてきたに過ぎません。努力してみたけどダメだった・・。そんな人は、努力の仕方を考え直さないといけませんし、きっと、ダメだと判断するのが早すぎただけです。何より難しい事は、算数のような方程式もなければ、答えも合格ラインもありません。自分で目標を作り、自分にあった方法を見つけ出し、練習をしなければいけません。その練習の場はどこにでもあります。それが今まで避けてきた雑談の場です。当然、いきなり雑談といっても直ぐにできるわけがありません。その場を利用して、少しずつ少しずつ練習していきます。練習をした分、かならず身に付くものがあります。逃げれば今まで通り、何も身につきません。

 あいさつをする

簡単な事に思われるでしょうが、今まであいさつもしたことがない苦手な人に対して自分からあいさつをするなど、いざやろうとしても、タイミングや声のかけ方だったり、なかなかできない人が多いのも現実です。しかし、あいさつははじめの一歩です。あいさつには中身がありません。相手を傷つけることもなければ、不愉快にさせることもありませんし、話す内容も考える必要すらないのです。それでいて、コミュニケーションが取れる最も簡単な方法なのですから。
◎まずは独り言から・・・相手に聞こえないくらいの小声でいいです。ここではあいさつを意識する練習です。
◎少し大きな声で独り言・・・相手に少し聞こえるくらいの声でいいです。相手からは返事はありませんが気にする必要はありません。
◎相手の方を見て独り言・・・顔を見る必要もありません。なんとなく、相手の方向をみながらです。相手も少し意識しはじめます。
◎相手の顔を見て独り言・・・相手の目をみるひつようはありません。声は少し聞こえるくらいで相手の顔のほうをみながらです。
◎相手の顔をみてあいさつ・・・ここからがあいさつです。聞こえなければあいさつではありませんから、相手に聞こえる声であいさつします。
◎相手の顔をみてトーンをあげてあいさつ・・・少しトーンをあげてあいさつすると、声のとおりがよくなり明るい感じがします。
◎相手の顔をみて笑顔であいさつ・・・相手は顔をみてくれないかもしれませんが、笑顔を意識すると自然に声がよくなります。目があった時の印象もよくなります。これをつづけていると、相手もあいさつをしてくるようになります。
返事が無くても気落ちせず、自らあいさつしたことについて自分で自分をほめることが大切です。

 タイミングを意識する

あいさつは会ったとき、別れるときなどタイミングが明確ですし、相手の作業をとめることもありません。しかし、あいさつ意外はタイミングが悪いと、かえって空気が悪くなることがあります。例えば、相手が忙しくしているとき、どこかに行こうとしたとき、電話など何かしようとしたときなど。話しかけるタイミングを意識します。
◎あいさつのあと・・・余裕のあるあいさつが返ってきたとき、続けて話しをするにはよいタイミングです。
◎休憩のとき・・・昼休みなど休憩時間が明確なばあい、相手の作業がとまるタイミングです。
◎席に戻ってきたとき・・・席に戻ってきてから、次の作業に移るまでは相手に時間ができるタイミングです。
声をかけれるタイミングはいつかよいか、意識して相手を観察してみます。

 一言声がけを意識する

一言声がけは、起承転結もなければ、筋書きもいらないちょっと声をかける程度の会話です。「あついですね」「さむいですね」などがそうです。簡単かとおもわれるかもしれませんが、ここが一つの大きな壁です。なにより難しいのは、自分から話しかけなくてはいけない事、あいさつと違って、一言かける言葉を考えなくてはいけない事です。相手にとっても簡単に返事ができる内容にします。
◎あいさつの流れで一言・・・あいさつが返ってきたとき、もし、特別な事があれば、一言つけくわえます。「天気わるいですね」「電車おくれてましたね」など。
◎簡単な質問で一言・・・相手が分かっていること、簡単に返事ができることをあえて質問形式で聞いてみます。物事を確認する内容です。「今日は定時退勤日ですよね」「xx時から会議ですよね」など。
◎お礼で一言・・・何かしてもらったり、教えてもらったりそのときにお礼をいうのは当然ですが、後になっても一言お礼を言ってみます。「昨日はxxしてもらって助かりました」「xxを教えてくれたおかげですぐにできました」など。
会話としては続きませんし、特に返事もないかもしれません。声をかけることが目的です。声をかけれたことについて自分で自分をほめることが大切です。

 相手の空気を意識する

「一言声がけ」は相手と雑談を始めるきっかけになる行動です。このときに相手の反応を意識してみます。反応が悪ければ、その後に声をかけるのはやめるべきですし、反応がよければ、会話につながるかもしれません。
◎特に返事もない・・・無理して声はかけません。
◎振り向かないが返事をしてくれる・・・相手は忙しくなさそうだったり、他ごとをとくにしていなかったり、声のトーンが高く元気そうであれば、また一声がけをしてみます。
◎振り向いて返事をしてくれる・・・会話をつなげるタイミングです。
話しづらい空気や雰囲気を感じたら無理に話すのはやめておきます。一度ギクシャクすると、次に声をかけるときに躊躇してしまいます。

 相手の良いところを見つける

そもそも、嫌いな相手、苦手な相手には話しかけにくいものです。もし、少しでも相手に尊敬できることがあれば、また、気持ちも変わってきます。少しでも相手の良いところをさがすように心がけます。良くないことは見方や考え方を変えてみると、良いところがみつかる事があります。考え方も意識してみます。
◎例えば細かい事をいちいち注意してくる・・・気にかけてくれているし、注意してくれる事を改善していけば自分も良くなるかもしれない。
◎例えば口調がいつも攻撃的だ・・・遠慮しないで物事が言えることはいいことだ。
◎例えば失敗しても平気にしている・・・落ち込まない強い神経は見習うべきだ。
相手の良いところが見つかると不思議と拒絶感が少しずつ無くなってきます。良いところを見つけたら、見つけた自分をほめましょう。

 相手に興味を持つ

興味があることについては、話を聞きたくなるし、知りたくなります。相手に対しても、興味をもってみます。
◎例えば見た目・・・変わった腕時計をしている、どこの時計だろう。
◎例えば話し方・・・いつも明るく話しているけど、どうすればそうなれるんだろうか。
◎例えば私生活・・・いつも出社が遅いけど、家が遠いのだろうか。
相手の悪いところは目を向けないようにします。気になる事は今後の雑談に生きてきます。

 良い印象を意識する

話し相手が笑顔であったり、話しを聞いてくれる人であれば話しやすいものです。逆に、自分も相手に対して良い印象をあたえることができれば、自然と相手も話しをしてくれるようになります。
◎笑顔を忘れない・・・何よりも相手を安心させる事ができます。無理に笑う必要はありません。
◎顔をそらさない・・・相手のほうを向きます。無理に目を見る必要はありません。
◎うなずく・・・相手の話しを聞いているアピールです。余裕があれば「そうですね」など相づちも意識します。

 気持ちを切り替える

話しをしたくないな。と思っていると、自然と言葉や態度にでてきます。例えば、忙しいときに話しかけられれば、相手の方も見ず、返事も気持ちが入りません。苦手な人に声をかけられても同じです。相手も良い気持ちではなくなりますし、毎回これがつづけば、話しかけられる事もなくなってきます。話しを聞くときは気持ちを切り替えます。
◎手を止める・・・何かしているとそれに意識がいってしまいます。まずは作業をやめてみましょう。
◎相手のほうをみる・・・相手の方をみると、相手も話しやすくなります。
◎聞く気持ちになる・・・気持ちは態度に表れます。しばらく他ごとは考えるのをやめて聞くことに意識します。

 話しを続けることを意識する

話すタイミングができたら話しを続ける努力をします。はい、いいえで答えられる内容でもそれだけでは会話が続きません。
◎オウム返しに質問を加える・・・相手の言っている内容を繰り返して言う事で肯定的な空気にし、さらに質問を加えることで相手に話しを促します。「そうですねxxは嫌ですね。xxも嫌じゃないですか?」
◎1つ聞かれたら2つ以上答える・・・聞かれた内容に答えるときに何かを付け加えます。付け加えた内容が次の会話のきっかけになる場合があります。「はいxx持ってます。でも使い方よくわからないんですよね。」
◎自己開示をする・・・自分のことも話ます。否定的なことは言いません。相手の興味がある話題を意識します。
特に自分のことを話すと、次第に相手も自分のことを話すようになってきます。お互いに思っていることやプライベートな話ができるようになれば、自然と次の雑談ができるようになってきます。

 話しは事前に準備をする

雑談がうまい人は、情報をいっぱいもっています。雑談で仕入れた情報をさらに雑談で使います。会話は情報の交換です。事前に準備をします。
◎話しのネタを準備する・・・この人にはこの話題、あの人にはこの話題など、急に会ってもなにか話しができるように、有る程度のネタを考えておきます。
◎誰に話すかをイメージする・・・明日会う人はどのような人か、どのタイミングで声をかけるか、話す内容はどのような内容がよいか。具体的にイメージしてみます。
◎雑学をみにつける・・・世の中のニュース、趣味や、話題になっている出来事、雑談のかなで気になってことを覚えるように意識します。話しができるように、具体的な数字や名前などを覚えます。