夢と現実と過去と未来

 夢とは何か
私たちの世界は11次元から構成される・・。なんとも分かりにくい話である。私たちの理解できるのは3次元と時間を加えた4次元までである。物質をどんどん分解していくと、分子や原子といったものになり、さらに分解していくと、電子、陽子、中性子になる。さらに分解していくと素粒子になるがさらに分解していくと、粒の性質と波の性質を合わせ持つ「回転、振動する弦」になると考えられたのだが、これが、11次元から構成されているというのだ。言ってみれば私たちも分解していけば、この良く分からない11次元の物質からできているということになる。ではこの11次元とはいったいどんな世界だろうか。11次元はまだ論理上の話しではあるが、実観測されている量子の不思議な振る舞いについて知る必要がある。1つ目は量子のもつれだ。これは対になる量子の一方に変化を加えると、もう一方の量子も同じ変化が起きるというものだが、それが宇宙の果てにあっても一瞬にして同じ変化が起きるというのである。光より早いものは無いはずだが、距離に関係なく起きる事象なのだ。そしてもう一つが量子の重ね合わせだ。量子はそこに存在する状態と、存在しない状態が同時に存在し、観測によって始めてどちらか確定するというのである。これについては、シュレーディンガーの猫が有名である。1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが発表した量子力学のパラドックスを指摘するための思考実験で、量子論主流派のコペンハーゲン解釈を身近なものに当てはめることによって、その問題を指摘しようとしたものだ。箱の中に猫がいるとするが、箱の中では、猫は生きている状態と死んでい状態が同時に存在しており、箱を開けたときに始めて生死が確定するというのである。
ここからは仮想の量子力学者であり、仮想の人物であるツカ・シトフ博士の夢と現実と量子力学の話しに移る。夢とはなんであろうか、なぜ夢をみるのだろうか・・。夢は記憶の集まりである情報を整理するときにその時々の起きたことや精神状態によって生じる脳の反応である・・。大抵はこのような説明であるが、不思議なことは多い。実際に夢を見ているときは、脳の扁桃体も活性化し、眼球も動いている。怖い夢を見れば、汗もかき、心拍数もあがる。夢を見ているとき、脳はそれを現実と区別できないのである。どう考えても現実ではありえないストーリーであっても、夢とは気がつかないのだ。そして、その夢のストーリーはいったい誰が考えたのだろうか。忘れていた昔の人に会うこともあれば、まったく記憶にもない知らない人と話をすることもある。見たこともない景色もあれば、知っている場所なのに何か違うときもある。記憶を整理するために夢をみるのであれば、実際に起きたこと、見たこと、経験したことの記憶が整理されて夢に出てきても問題はないだろうが、そんなことは一切無い。博士によれば、夢は現実であり、だから、夢とはわからないのだという。いったいどういう事だろうか、夢は夢ではなく、現実であるとは・・。
さて、マルチバース、並行宇宙という言葉は聞いたことはあるだろうか。宇宙はひとつではなく、数え切れないくらいの宇宙があり、ほんの少しだけ違う宇宙もあれば、物理法則がまったくことなる宇宙もあり、それぞれ同じような自分が存在しているかもしれないというのだ。夢はこの世界と通じているのか・・。しかし、博士の考えは、マサチューセッツ工科大学の哲学助教授、ブラッド・スコウの考えに近い。時間は流れておらず、むしろ止まっていおり、相対性理論をもとにすると、「現在・過去・未来は同じ時空間に広がっていて、それが散在しているといる状態にある。」という考えである。さらに、博士はその同時に存在する現在・過去・未来は1つではなく、無限に存在し、これが夢とリンクするのだというのだ。夢で他の世界を実際に見ている、しかも、現在、過去、未来、まったく異なる物理法則の世界や、宇宙も含まれている。そんなばかげた話はあるだろうか・・。ここで量子力学の話に戻る。量子の重ね合わせは、複数の状態が混在して存在しているが観測により1つの状態に確定するということであり、量子のもつれでは、対になる量子は同じ振る舞いをすることである。夢をみている状態は、脳を構成する量子は、今の現実から切り離された状態、つまり、観測されていない状態であり、量子で言う、重ね合わせ、複数の状態が混在する状態に遷移する。そして、量子のもつれ、対になる量子は同じ振る舞いをするのだが、脳を構成する今の状態の量子は、似た状態の対になる他の世界の量子と同じ振る舞いをすることになる。つまり、博士の考える夢というのはこういうことだ。人が眠りにつくと、脳を構成する量子は今の現実から切り離され、他の時空と重ね合わせた状態となり、異なる世界を含む、現在、過去、未来へとつながる。その中で、今の現実で経験したことや、考えていること、精神状態に影響された量子と似た状態の世界の量子ともつれの状態となり、他の世界とつながるのである。そこには見たことの無い世界や、まったく違う物理法則が存在しても、それがおかしいとは思わない。なぜなら、それはその世界では普通であり、間違った事ではないからだ。そして、眠りから覚めると同時に、量子は今の状態へ収束する。夢は、収束する瞬間に残った残像にすぎず、ほとんどは消えてなくなる。現実と判断がつかないくらいの夢をみても、起きたときにそのほとんどを覚えておらず、曖昧になってしまうのは、自分の脳で体験したのではなく、他の世界の人の脳とただ、もつれの状態になっただけで、記憶に必要なニューロン細胞まで浸透していないためなのだ。未来のことがわかる予知夢も、特別な事ではない。たまたま脳が起きたときに、今に近い状態の別の世界とつながっただけに過ぎない。脳が眠ると、他の次元に量子はもつれ、脳が起きた瞬間、量子は収束し、そのわずかな残像が夢として記憶に残る・・。夢は現実なのである。

 ゆらぐ未来
さらに、博士の話は夢から現実の未来へと話は続く。はたして、未来は変えることはできるだろうか、それとも絶対的に決まっていて変えることができないのであろうか。量子力学では観測するまでは、複数の状態が混在して存在している。未来は、まだ観測していない状態、つまり、複数の未来が存在している状態といえる。そして、未来が今となった瞬間に、今が確定され、1つに集約する。ではどのようにして、その1つが決定されるのであろうか。それは量子のもつれである。同じような状態の量子である未来が決定される。廻りの環境、今考えていること、感情や体調、いろいろな状態に一番近い未来である。この繰り返しで未来が確定していく。では、未来は変えられるのだろうか。いや、変えるのではない。未来はきまっておらず、選択していくことが可能だということである。だが、今の自分はどうであろうか、未来を選択できるとしたら、今はもっと優雅になっていてもいいはずだし、未来はさらに優雅になるはずだ。ここで勘違いしてはいけないことがある。未来を選択できるということは、思い通りになるということではない。ジュースが飲みたいと思えば、目の前にジュースが現れるわけではない。だが、ジュースを買いにいくことはできる。つまり、選択できる未来があると同時に、選択できない未来もあるということだ。では、選択できる未来とは何か、それは、自分の考え、意思や行動に影響する未来である。2019年代になると、引き寄せの法則というのが話題になった。心で思っていることが引き寄せられ現実化するというのである。これももちろん目の前にジュースが現れる話ではない。どのようになりたいか、そのための意識と努力を行えば、その思いに現実が近づいていく、思いに近い未来が選択されていくということである。もし幸せになりたいと思うのであれば、将来幸せになろうと思うのではない。今、幸せだと思おうと考えるのである。その今が、次の瞬間の幸せな気持ちにつながり、その連続が、将来の幸せに繋がっていく。今、不幸であると考えるのであれば、次の瞬間も不幸なのは確実である。選択できる未来、それはまず、今をどう考えるか、どう感じるかである。

 ゆらぐ過去
過去は変わることは無い。なぜならばやり直すことができないからだ。もう過ぎ去ってしまったことは戻すことができない。これが普通の考え方だが、博士の考え方は異なる。過去は常にゆらいでいるという。つまり、未来が確定していないと同じように、過去も確定していないというのだ。量子が1つの状態に集約するのは、観測したその瞬間である。過ぎた過去は、観測されている状態ではない。観測が終わった状態であり、観測がされていない状態である。今廻りをみると、どこに時計があり、机があり、テレビがあり、本があるかはっきりわかる。1時間前はどうだったであろうか。1ヶ月前はどうだったであろうか。1年前は・・。過去にさかのぼるほど、記憶は曖昧になる。今あるから、おそらく前もあったに違いないと考えるのだが、明確にどこになにがあったかなど、覚えてはいない。脳はひとつの観測装置である。記憶という材料により、過去を観測し、このとの複数存在する量子は1つに集約され、過去が確定するというのである。こんな経験はないだろうか。古い友人と会ったときに、昔話をしていると記憶にない話がでてきたり、記憶とは違う内容がでてきたり、もしくは、話を聞いている間に、記憶がよみがえるとか、なんとなく思い出してくるなどといった経験である。相手の過去も自分の過去も間違っていないし、どちらも存在する過去である。だが、今ある情報によりそれが1つに集約され、過去が決定され、過去が思い出されるのだ。注意すべきことは、記憶を含む今の情報より、過去が確定されることである。今の情報が異なれば、また、過去も変わるということである。認知心理学者エリザベス・ロフタスの虚偽記憶の実験では、実際には経験していない過去を、あたかも本当にあったかのように話して聞かせると、やがて本人も体験したかのごとく記憶として残るというのだ。この実験はあくまでも記憶が作られるという実験ではあるが、博士はこれを過去の確定と考えている。つまり、本人が体験したと思えたときに、過去が確定し、本人にとっては実体験となり、明確に思い出すこともできるというのである。いつもと同じ道を歩いていて、こんな所にこんな家があっただろうか、とか、ここに道があったはずなのにと思えたり、それは、すべて実際の過去かもしれない。未来がゆらいでいると同様に、過去もまた、ゆらいでいるのである。そして、未来と同様に、過去もまた選択できる可能性を含んでいる。ワシントン大学のカーター・マーチ教授は、量子の今、未来の状態を知ることによって、その量子の過去の状態が変化することを量子の実験で発見した。量子力学の世界では時間が正方向にも逆方向にも流れていることを示唆している。つまり、今は未来に影響すると同時に、過去にも影響しており、今は過去から影響されるのと同時に未来からも影響を受けているのである。今をどう考えるか、どう感じるかで過去すら変えれる可能性があるのである。

 そして過去と未来を変える
幸せな過去と未来・・、もし望むのであれば、今この瞬間幸せを感じる事だ。それは、必ず、過去、未来に影響するのだ。