ドッキリ番組で、あるお笑い芸人に、「突然、知らない人から弟子にしてくださいといわれたらどうするか」というのをみました。知らない人ですから、当然困惑して断るでだろうと思われたのですが、その芸人は、なんとそのまま、いいですよと受け入れてしまいます。スタッフも想定していなかったようで、そのまま隠し撮りで企画が継続されることになります。「知らない人」も、お笑い芸人を目指していたので、「ねた」のアドバイスなどをするのですが、とても真剣に答えます。あるときは、ネタの漫才の動画が送られてきたのですが、仕事の合間に、何度も見直し、文字にして、アドバイスを書き添えてメールで返信するのです。これをみた、番組のコメンテーターもみんながすごいと関心します。でも、当の本人は、いえいえ、お笑いが好きなだけですから、と本音なのか、謙遜なのか、まったくのおごりもありません。この企画、1年も続き、いよいよ終わりとなったのですが、「知らない人」もすっかり、本当の師弟関係でいたいとなりました。お笑い芸人なので、普段はふざけているような事ばかりいっていますが、「ねた」をなんども確認する真剣な姿、簡単に弟子にしたからいい加減かとおもいきや、いつも本気で考えている姿にものすごいギャップを感じました。
この芸人がすごいと思ったことは、まず、人が見ていない楽屋で、打ち合わせの合間、合間に、真剣に他人の「ねた」を何度もチェックしていたことです。たいていは、人がいる前でいい格好をしたがるものです。だれも見ていなければ、多少はさぼりたがるし、ましてや、お金にもならない他人の「ねた」の確認ですから、なにもメリットは無いはずです。なのに休まずに、チェックをするのです。この人はきっと、何に対しても本気でやれるひとなのだろうと思いました。物事を損得だけで考える人にはできないまねです。そして、ふっとこんな事を思いました。この芸人はいつも、能力をフルで活用していて、それが普通になっているんだろうと。多くの人は、勉強や、仕事の必要な時間だけです。なぜなら、それが、楽なのですから。でも、損得を考えずに、何にでも一生懸命やれたとしたら、もっと得られるものがあるのかもしれないと。
もう一つすごいところは、「知らない人」との付き合いも、けっして上から目線で会話しなかったことです。どう考えても、売れっ子の芸人と、まだ事務所にも入る事ができない、ほとんど素人同然の弟子です。もっと、いばってもよいものなのですが、まったくそんなことはありません。だれでも、できない人をみると、下にみたりするものです。
ただのドッキリ番組と思って見たのですが、なんだか学ぶべきことが色々あった気がします。